学生時代からの友人(美人、独身女性)が嘆く。

「日本は若くないと希望が持ちづらい」、「意識しすぎかもしれないけれど、50の壁」と。

確かに、テレビでも何でも、若さがもてはやされる。若者向けのグッズが売り出され、企業は若者に受けたがる。若いこと=価値がある、と感じさせられる場面は多い。

でもね、待って。

50歳ってなかなか良い年齢だと思うのよ。

 30の「結婚の壁」、40の「出産の壁」は、女性ばかりが値踏みされた気がする。「選ばれる・選ばれない」のふるいにかけられ、壁を乗り越えられなかった女性には「落ちた」印象がまとわりついた。

でも、50は「更年期の壁」。体力が落ちて、ホルモンバランスも変わり、若いころとは違う自分に気づく。それは自然の法則で、かつ男女平等。男性にだって訪れる。

それにね。年を取ったからこその価値もあると思うのよ。

介護施設や病院で、おっとりしたベテランの職員さんの方が、安心感があって頼れるって思う場面はない?

高級旅館や高級料亭で、上品な年配の中居さんに優雅に給仕してもらうと、豊かで贅沢な気分になったりしない?

若くて速いこと。それが価値、っていうのは、いわば高度成長期の蛍光灯のようなもの。煌々と隅々まで照らすのは、あまりに薄っぺらで深みがない。

ときは21世紀。高齢化した成熟社会は、ろうそくの陰影にこそ豊かさを感じ取れるものじゃない? そういう価値観の時代が来ていると、私は思うのだけれども。

(2017・3・9執筆、元沢賀奈子)