カホコ&ブラキャ

ドラマ「過保護のカホコ」と「ブランケット・キャッツ」には共通点が・・・

 猫と人間のかかわりを通して、大切なことは何かを考えさえるドラマ「ブランケット・キャッツ」(NHK、金曜22時~)。8月4日放送の最終回は、「人は何のために生きるのか」を問うた。主人公・俊亮(西島秀俊)の答えは、「あんたを大切に思ってくれる誰かのためだ」。一方で、「過保護のカホコ」(日テレ系、水曜22時~)でも「必要としてくれる人がいる」ことの喜びが描かれる。「誰かに必要とされたい」「必要としてくれる誰かが欲しい」とは、承認願望の表れ。大人も子供も、自分の居場所を探している現代ならではの共通テーマだろう。

 「ブラキャ」(原作・重松清、脚本・江頭美智留)の最終回は、癌で自殺を考えた女性(富田靖子)が、「死ぬ前にしたいこと」をしようと、俊亮から猫を譲り受ける。町内の文具店で地味に地道に働いてきた。夫に浮気されてバツ2で、子供もいない。何の楽しみもなく贅沢もせず、ずっと我慢し通しだった。なのに癌になった。

「もういやだ、耐えるだけの人生なんて。なんのために生きなくちゃならないの」

 入水自殺を阻止され、助けられた女性が問いかける。妻を交通事故で突然失った経験のある俊亮は、女性に答える。

「誰かのためだ。あんたが死んだらずっと後悔する誰かのために」

 人は、一人で生きて一人で死んでいくものだ、とうそぶく女性。自分にはそんな「誰か」はいない、と訴える。だが俊亮は言う。

「人は一人で生きてるわけじゃない。(略)あんたのことを大切に思っている誰かがいるんだ」「人は一人で生きてない。けど、そんな当たり前のことに、後で気付いても取り返しのつかないことだってあるんだ」「だから死ぬな。あんたのことを、心の底から心配している誰かのために」

 そこへ、永年働いてきた文具店の店主夫婦が心配して追いかけてくる。実は娘のように大切に思っていてくれたのだ。結局は「青い鳥」、幸せはすぐ身近にあった。灯台、下暗し。「必要としてくれる誰か」は、王子様ばかりとは限らない。恋愛対象ではなくても、情の通う人間関係には、いろいろな形があるのだ。

 この自殺未遂騒動の前に、俊亮は行きつけの食堂で、女将(美保純)から言われていた。

「人は、守ってくれる人がいるかどうか、自分を必要としてくれる人がいるかどうかで、生きていけるのかもしれないね」

 俊亮自身、妻の死後に自暴自棄になっていたのを、幼馴染や周囲の人たちに支えられ救われたのだと思い至る。

(2017・8・6、元沢賀南子執筆)

(この項「下」に続く)