積極投資をしないと資産運用はできないと思いつつ、何がいいのか――悩む一人として、銀行や不動産会社のセミナーに行ってみた。そのエッセンスを紹介する二回目は、米国株投資の続き。

 米国株は特異的に強い、という話は前回書いた。何かの問題で一時的に落ち込んだタイミングで仕込んで、反転した時に儲けることもできる。だが、そのタイミングの見極めが難しいことから、プロに任せる手もある。ファンド(投資信託)である。

 投資信託は、銀行や証券会社などのプロの運用責任者が、銘柄を選んで組み合わせ、利回りがプラスになるように運用するものだ。ただし、株ならば証券会社への手数料はかからないが、投資信託は銀行や証券会社への手数料がかかる。

 購入時には購入手数料、保有期間は信託報酬(運用管理費)、売却時にもファンドごとに定められた手数料がかかる。信託報酬の比率の高いファンドだと、購入後の運用をしてもらっている間、銀行や証券会社に手数料を払い続けることになる。銀行側にとっては、ローン返済のように手数料が入り続けるため、ビジネスとしては魅力的だ。

 だが、投資信託は、ものすごい数がある。個人ではとても研究しつくせない。そこでお勧めなのが、米国株の中でも特に好成績のものだけを集めたファンドだ。具体的には、「S&P500配当貴族指数」に連動したファンドだという。

 この指数は、米国内580万社のうち500社に絞ったS&P500株価指数に入る銘柄のうち、25年連続増配の企業のみで作るものだ。S&P500自体が、米国株の全体平均と比べても成績が良い。さらに25年連続増配というのはかなり厳しい基準で、いまは51銘柄ある。(ちなみに日本では25年連続増配は花王しかないという。)2000年を基準とした時に17年までの成長率を見ると、S&P500は2.5倍、配当貴族は5倍にもなる。S&P500のパフォーマンスも良いが、それをさらに大きく上回っている。

 このS&P500配当貴族指数の銘柄は、景気に影響されにくい生活必需品を扱う会社が4分の1を占めるほか、世界的なブランドも多く名を連ねる。ジョンソン&ジョンソン(ヘルスケア)、エクソンモービル(石油)、AT&T(通信)、ウォルマート(流通)、P&G(衛生用品)、コカ・コーラ(飲料)などだ。

 これら貴族指数に連動したファンドのほか、好配当株のみを集めたファンドは各社から出ている。それらは好調な米国株の中でも、特に安定的に好成績を残す可能性が高い、狙い目のファンドだという。

(この項続く)