積極投資をしないと資産運用はできないと思いつつ、何がいいのか――悩む一人として、銀行や不動産投資のセミナーに行ってみた。そのエッセンスを紹介する7回目は、不動産投資について、その2。マンションやアパートを新築で建てる経営について、立地によっては勧められないと書いた前回に続き、今回は区分所有物件への投資について。
区分所有物件(マンション)を所有して賃貸経営する不動産投資に関しては、新築を建てて販売する業者と、中古物件を販売する業者がある。
新築では、東京都内など人気エリアでは物件価格がかなり高くなる。区など自治体による建築禁止条例のためワンルーム・マンションは新規に建てられず、1LDK・30平方メートル以上などとなり、広い分、当然、物件価格も高くなるからだ。さらに新築なので入居者は新たに募集しなくてはいけない。入居者がつくまではローンの返済のみで収入がない逆ザヤになる。
中古物件では、入居者つきの物件をオーナーチェンジ用に販売する業者と、入居者はいないがリフォームして販売する業者とがある。後者の場合、新築と同じく入居者が入らないリスクを背負うことになる。前者の場合はすでに入居者がいるので利回りが最初から計算できる。ただ、中古マンションでも、ある程度の利回りの見込める人気エリアの物件は、価格が上がり過ぎてしまい、手間やリスクに比べると高い利回りが期待できない。
例えば、恵比寿、表参道、目黒といった人気エリアの駅徒歩圏の物件は、築30年以上のマンションでも、1平方メートルあたりの単価が100万円ほどもする。築浅とか南向きとか条件が良いともっと高くなる。(それでも物件が売りに出れば御の字というほど、いまや人気エリアの物件は業者間で決まってしまい、普通の購入者の手の届く市場には出てこない。)こうなると、賃貸収入と比べた表面利回り(年間家賃÷物件価格×100)で年利4%くらいが平均だろうか。良くても5%台、悪いと3~2%しかないものもある。
ただ、購入時にある程度の利回りがあれば、賃料が後で大きく下がることは稀なので、利回りがマイナスになる危険性はまずない。
だから、金融投資に比べれば、まだ利益率が高いと見えるのだろう。投資信託は成績の幅が大きく、良ければ年利10数%にもなるが、悪いとマイナス10数%になることもある。さらにそこから手数料が引かれる。単位株は、売買のタイミングも難しく、必ずもうかるわけではない。その点、物件の場所や広さなどで賃料相場が決まっている不動産投資は、安定的な投資に見えるのだろう。
(この項続く)