投資したくなる会社3~さわかみファンド報告会から

安川電機の説明会

安川電機のブースで開かれた事業説明会。IR担当者は今後の見通しについて中国要因による好調が続くと話した=大阪市内で

さわかみファンドを運営するさわかみ投信が大阪市で開いた運用報告会に参加していた会社から、投資したくなる魅力的な企業を紹介する第3回は安川電機。三つの柱のうち、二つについて前回述べた。今回は三つ目の柱について。

三つ目の柱である産業用ロボットも世界トップクラスを誇る。世界的には4大メーカーが20%弱ずつのシェアを持っており、安川電機のシェアは17%。ロボット市場も拡大の見通しだ。

ロボットも、中国向けの工場自動化用が牽引役となっている。中国向けの売り上げが2015年に130%増と伸び、今年は7割を超える。海外売上高が増えたため日本は2割強になった。中国に限らず、日本、米欧などでも、ロボットのコントローラなどのシェアも取っている。

ロボットは、安川電機が70年代に日本初の電気式ロボットを産業用ロボとして開発した。特に自動車メーカーに強く、溶接ロボット、塗装ロボット等を製造してきた。最近は、車以外に、半導体製造や真空搬送ロボット、バイオメディカル用などにもロボットが活用されている。

例えば、1日500万食といわれるコンビニ弁当を作る工場でロボットが作業を担っている。人手不足対策で、これまで人がしていたサンドイッチや菓子パンの箱詰め作業を、ロボットがする。詰めるだけでなく、弁当を作るなどの食品分野への拡大を狙っている。

また、イケアの工場では家具の梱包をロボットがしている。イケアの場合、家具のパーツを緩衝材とともに段ボールに梱包し、さらに包装材で包み、配送ラインに流す、という一連の流れがロボット化されている。細かい作業もある。ロボットなら重い部材も問題ない。

安川電機の25年ビジョン

安川電機の25年ビジョン=同社の説明展示から、大阪市内で

他にも、中国のリモコン製造ラインがロボット化された。細かい組み立て作業もロボットが代替するようになった。

「今後は、小型ロボットが急速に増えていく流れ」と、IR担当者は見る。少量多品種で、少量のいろんな製品を作るような製造過程だ。これまで人手に頼っていた少量多品種への自動化を提案しているという。例えば、同社の黒崎工場に併設されている、ロボットを楽しむ科学館「みらい館」(2015年6月開館)では、好きな色でミニカーが作れる小型ロボットのデモンストレーションをしている。

創立100周年を機に15年、今後に向けての「2025年ビジョン」を掲げた。コア技術を生かして新規事業に挑戦する。向こう10年間で売上高を2倍にする目標で、当初は2018年度に営業利益450億円を目指していた。だが、今年度がとても好調で、売上高4450億円、営業利益485億円の予想と、目標を1年前倒しで達成しそうだ。

モーションセンサーやロボットなどのコア技術を応用して挑戦している新規事業領域は二つ。一つはクリーンパワー領域で、風力や太陽光といった自然エネルギー発電に、コンバーターなど電力変換装置を有効活用する。もう一つは、ヒューマトロニクス領域で、介護・福祉分野にロボット技術を応用する。歩行アシストやリハビリ装置、車いすからベッドへの移乗アシスト装置などだ。また、バイオメディカル分野でもロボットを導入した研究環境改善に取り組むという。

安川電機の歴史

安川電機の歴史はモーターから=同社の展示から、大阪市内で

もともと、北九州市黒崎で1915年に電動機(モーター)メーカーとして創業、今年で102年になる。創業家の安川家は炭鉱を持っていて、石炭の搬送用モーターから始まった。昭和30年代にサーボモーター、インバーター、ロボットに特化。1960年代に、機械工学と電子工学の合成語である「メカトロニクス」を提唱した。ロボットで注目されているが、創業のモーター技術でインフラ、工場産業を支え、システムづくりで事業を拡大してきた。現在、従業員は約1万4千人で、うち半分以上が海外だ。

(この項終わり)(2017・9・19、元沢賀南子執筆)