投資したくなる会社3~さわかみファンド報告会から

 

安川電機の説明会

安川電機のブースで開かれた事業説明会。IR担当者は今後の見通しについて中国要因による好調が続くと話した=大阪市内で

 さわかみファンドを運営するさわかみ投信が大阪市で9月2日、運用報告会を開いた。一般投資家向けに事業内容を説明した30社の中から、投資したくなる魅力的な企業を紹介する第3回は、安川電機(東証6506、本社・北九州市)。ロボットとモーター(電動機)のメーカーで、中国向けが好調なため好業績を続けている。

 安川電機は、ACサーボ・コントローラー、インバーター、産業用ロボットのつで世界トップシェアを誇る。昨年7月には1400円前後だった株価が、今年に入って2000円を超えて跳ね上がり、今や3700円台を伺う水準にある。理由は、「今年7月の決算発表が市場予測を大幅に上回る上方修正をしたこと」(同社IRグループ担当者による)だ。

 好調を牽引しているのは中国への輸出だ。一人っ子政策による少子高齢化で工場に人が集まらず、賃金は上昇。人件費の高騰と人手不足をしのぐため、大量雇用・労働集約だった生産設備を、ロボットや機械を導入して自動化する工場が急増している。

安川電機の説明展示

安川電機の誇る3つのソリューション事業は、ロボと、ACサーボ、インバーター=同社の展示から、大阪市内で

2017年も大きな設備投資をしており、「今後も中国向けはまだ伸びるとみられる。この好調を見越して株価が好調に推移している」と、同社のIR担当者は解説する。

特に伸びているのが、同社が世界シェア1位を誇る、ACサーボ・コントローラーという制御装置だ。高速で動いて、ぴたりと止まることに特化したモーターだ。同期制御を、ナノ単位で精密に動かせるのが強みで、1回転360度を1600万分の1に分けて動作・静止ができる。例えば、山手線の大きさなら、電車が線路上を2センチ動くだけで分かる程度の精度という。この分解精度はメーカー内で最高品質という。

ACサーボ・コントローラーは、スマホや家電などに使われる半導体を製造する精密機械に欠かせない。同社が17%のシェアを誇る。かつて人が組み立てていたスマホも、今ではACサーボ装置を搭載した機械が製造している。基板にチップを載せる作業の制御など、電子部品や精密機械の製造工場でも使われる。

 また、インバーターでも世界シェアは同社がナンバーワンだ。インバーター装置とは、電源の周波数を変えることでモーターの回転数を制御する。省エネにもなり、空調やエレベーター、エスカレーターなどで使われる。中国では政府が補助金を出していることもあり、モーターの活用が爆発的に進んでいるという。

安川電機の売上高は半分近くがモーションコントロール事業による=同社の展示から、大阪市内で

 安川電機の連結売上高3949億円(2016年度)のうち、上述のACサーボ・コントローラーやインバーターなどを含む「モーションコントロール」(動作制御)部門が46%を占める(うち65%がACサーボ)。ほかは、「ロボット」が35%、「システムエンジニアリング」が12%など。世界30か国で展開しており、売上高は海外が66%、国内は34%に過ぎない。

(この項続く)(元沢賀南子執筆)