ソフトバンクワールド2017プログラム

ソフトバンクワールド2017は7月20、21日に開かれた=東京都内で

ソフトバンクワールド(7月開催)で紹介された、ソフトバンク社自体のIoTへの取り組み。引き続き、企業とのコラボの実例を紹介する。

 3)藤枝市との協業

 地方都市は人の流出が激しく、過疎化が進む。人口流入の為にも、産業の活性化と住みやすい街づくりが求められる。働き方改革で在宅ワークも注目されている。地方都市の社会課題をIoTで可能にしようという実験が、藤枝市で始まっている。

 2016年夏に、ICT利用の地域協定を結んだ。LPWA(低容量広域通信)を市内全域に敷き、IoT用のネットワークを今年8月に市内全域に配備した。この通信網を活用したサービスを全国から募集、実施する事業者を呼び込んで産業を活性化し、市民にサービスを提供してもらう。

 サービス開始予定の事業が、小学校1年生全員の登下校お知らせサービスだ。子供がどこにいるかを知らせる。安心安全の街づくりの一環だ。今後、高齢者の見守りや、河川の水位監視、害獣対策などの事業にも活用が想定されている。こうして、地域の人が暮らしていきたいと思える街づくり、地域外からここに住みたいと移住して来るような街づくりをする。

 今後も、どんなサービスが市民に喜んでもらえるかの議論をソフトバンク社が藤枝市と一緒にしていくという。

 

4)ルネサスエレクトロニクスとの共同開発

2016年7月から、共同開発した「感情エンジン」の提供を始めた。

車の自動運転システムで、運転手のバイタルデータに、顔の表情から「感情を読み取る技術」のエッセンス加えて、感情認識をする。

この感情エンジンは、他社にも提供し、いろいろな展開が考えられている。例えば、音声感情認識エンジンを使い、ホンダと車に感情を持たせることを共同研究している。

また、コールセンターでは、客の声によって回答を変えることができる。応答するスタッフ側の元気度を見ることによって、離職防止にもつながる。

バイクメーカーのカワサキとも提携した。

家で、ユーザーの「ただいま」の声によって、コンピューターの返答を変えることもできる。家電や家など、コンピューターに感情を持たせると何ができるかを研究中だ。

 

5)東洋インキSCHDとの共同開発

 材料メーカーとしては珍しい取り組み。まだ、IoTビジネスを構築できてはいないが、自社の強みを生かしたサービスの検討に、異業種オープン・イノベーションで挑戦中だ。

材料×IoTを考えている。インキメーカーで、扱っているのは有機系ポリマー。フロアセンサーでの活用を視野に、どうビジネスが展開できるか、長所をいかに発展させられるかを検討中だという。

ソフトバンク法人事業開発本部と、もう1社の計3社で共同開発している。8月にもモデル機の第1号機ができる予定だという。

(この項続く)(元沢賀南子執筆)