積極投資をしないと資産運用はできないと思いつつ、何がいいのか――悩む一人として、銀行や不動産会社のセミナーに行って感じたエッセンスを紹介する4回目は、ファンドラップ。運用成績がマイナスにならないためには、地道に市場をチェックし、ポートフォリオの組み換えを日々することに尽きる。だが、それが面倒で、かつ余裕資金が300万円以上あり、リスクを理解できる人になら、投資の時間とスキルを金で解決する手段としてファンドラップ口座はお勧めと言える。

前回書いた通り、プロの運用責任者は日々相場をチェックし、組み替えを考え、組み合わせを変えているから、株価が前年比マイナスの時でもプラスの運用益を出すことができる。このやり方は、個人が自分の運用を実行する時にももちろん応用できる。プロの運用責任者と同じように、こまめにポートフォリオの組み替えをしていけばいいだけのことだ。

だが現実的には、お金があったとしても、そうするだけの暇もなければ関心もない人も多い。仕事上、インサイダー防止のために本人が投資案件に直接かかわれない場合もある。

そんな高年収で多忙なサラリーマンが金融資産運用を考える時にこそ、ファンドラップは最適だ、と言える。お金のことを考える時間も運用への関心もないけれど、定期預金に預けるしかない、まとまった余裕資金が500万円以上ある、という人だ。

彼ら高収入の人々は日常的に、金で時間やスキルを買って、問題を解決することに慣れている。ハウスクリーニングなど家事サービスを頼むのも、タクシーを使うのも同じこと。資産運用について、自分が運用する時間が惜しい、自分でするのは面倒だ、または自分には運用するだけのスキルがない、という場合、運用の時間やスキルを金で買って解決する、ということだ。

プロに任せるのだから、そのプロを雇うにはお金がかかることは了解している。その経費が運用手数料だ。自分がするよりはマシだろうとの推測のもと依頼し、うまくいかなかった時にも任せた自分の責任だから文句は言えない。運用結果に満足できなければ、検討のうえ、運用をライバル社に乗り換えればいいだけだ。

金はあるが暇はない、金は増やしたいがスキルはない、そんな人が、定期預金以上の運用益を出したい時、多少のリスクをとってもかまわない、運用手数料は仕方がないと思える、というなら、ファンドラップほど楽な資産運用法はないだろう。

(この項続く)